少年「どこ行くの?」

1 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 06:35 ID:9QH6sC5Z
少女「…別に」

少年「…??」

少年「べつにとかいうとこあったか?」

少女「…。」

少女(だめだこいつ…)

少女「あんたってバカ?」

少年「ダイレクトに言うな!」

少年「ていうかさ、こんな時間にどこ行くんだって聞いてんだけど。」

少女「べつにってとこ。」

少年「それは冗談だって!」
2 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 08:20 ID:Sk3O6hwc
…続くの?
3 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 15:35 ID:9QH6sC5Z
続きます

少年「で、どこ行くの?」

少女「…なんであんたに言わなきゃいけないのよ。」

少年「えっ?…なんでって言われると…そうだなぁ。」

少女「…。」

少年「そこまで拒否られるとさ、気になるじゃん?」

少女「…。」

少年「な、なんで呆れた顔してるの?」

少女「いや、こんな奴に話さなくてよかったな、と…。」

少年「ひ、ひどい!」
4 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 15:39 ID:9QH6sC5Z
少年「で、どこ行くの?」

少女「…あんたもしつこいわね…。」

少年「それが取り柄だからね!」

少女「かわいそう。」

少年「なんで!?」

少女「うーん…。そうね…。」

少年「?」

少女「条件付きだけれど。それでもいいなら、いいわよ?」

少年「?な、なにが??」

少女「!ーっだから!どこ行くか話してもいいってこと!」

少年「え!?ほんとに!?」

少女 (なんでそんなに喜べるのかしら…。)
5 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 15:43 ID:9QH6sC5Z
少年「で、その条件って、なんだ??」

少女「ふふっ。聞きたい?」

少年「聞かなきゃ答えられねーじゃねぇか。」

少女「!う、うるさい!!」

少年「馬鹿だなー、お前!」

少女「あんたにだけは言われたくない!」

少年「あははっ!」

少女「もう!話さないわよっ!?」

少年「しゃーねーなぁ!聞いてやるよ!!」

少女 (あいつがお願いしている立場なのになんでこんなに偉そうなのかしら。)
6 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 15:51 ID:9QH6sC5Z
少年「で?条件ってなんだ?」

少女「…。」

少年「…?」

少女「…さいよ。」

少年「え?」

少女「一緒に来なさいよ。」

少年「…え?」

少女「〜っ!きっ、聞こえないのっ!?来なさいって言ってるのよ!」
7 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 15:54 ID:9QH6sC5Z
少年「え、いや、うん。あの、さ。」

少女「…なによ。日本語喋りなさいよ。私日本語しか知らないんだから。」

少年「い、いいのか?」

少女「いいって言うか…。私が条件で出しているのだけれど…?」

少年「ほ、ほんとか?」

少女「…。」

少年「だ、黙るなよ!」
8 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 16:03 ID:9QH6sC5Z
少女「やっぱり、嫌だったのかしら?」

少年「いや!俺にとっては好都合だ!」

少女「! そ、それって、どういう…。」

少年「…俺んちさ、親が再婚して、さ…。」

少女「あ…。」

少年「ちょっと、家に居づらくって、さ。」

少女「…そ、その…、ごめんなさ、い…。」

少年「あ!ごめん!こういう空気にするつもりなかったんだ!」

少女「…知ってるわ。」

少女「あんたは、馬鹿だけど。優しいから。」

少年「え…?」

少女「さ、一緒に来てくれるんでしょ?いきましょ!」

少年「…。」

少年「…うん!」
9 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 16:26 ID:XXSeJa8w
期待
10 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 16:41 ID:9QH6sC5Z
>>9
ありがとうございます

少年「で?どこ行くの?」

少女「…あんたそれしか言ってないわね。」

少年「だって、知りてーし!一緒に行くんだろ?」

少女「そうね…。私が行くのは、ここと離れたところ、かな。」

少年「…。」

少女「な、なによ。急に静かにしないでよ…。」

少年「いや、ずいぶんざっくりだな…?」

少女「い、いいでしょ!別に!」

少年「じゃあ、行くところは決めてないんだな?」

少女「き、決まってるわよ!ここと離れたところって言ってるでしょ!?」

少年「そういうことじゃなくて、具体的に、な?」

少女「う…。そ、そうね…。」

少年「じゃ、俺が決めるぜ?」

少女「良いわよ。ちゃんとエスコートしてよね?」
11 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 17:12 ID:9QH6sC5Z
少年「なんか、希望はあるか?」

少女「別に?好きなところで良いわよ。」

少女「強いて言うなら、私が楽しめるところ!」

少年「へいへい。じゃ、行くか!」

少女「おー!」

少年「じゃ、探検に行くぞ!」

少女「…え?」
12 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 17:24 ID:9QH6sC5Z
少年「探検だからな。電車乗るぞ。」

少女「それは、良いけど…。」

少女「私、お金とか、ないんだけど…。」

少年「あぁ、それは大丈夫。俺が、払うよ。」

少女「なんでそんなに…あるの?3万円はあるよね?」

少女「小学生がそんなに持ってたらおかしくないかしら?」

少年「…。」

少年「…お母さん、優しいからさ!たくさんくれるんだ。」

少女「…そう?なら、良いんだけど。」

少年「じゃあ、切符買うから。どっか行きたいとこある?」

少女「別に。」

少年「じゃあ3つ先ぐらいで良いかな。」

少年「はい、切符。」

少女「ありがと。」
13 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 17:33 ID:9QH6sC5Z
少年「…着いたな。」

少女「そうね。」

少年「では、未知の領域に足を踏み入れようか…。」

少女「なに格好つけて言ってんのよ…。」

少年「良いじゃねーかよー!なんかワクワクすんじゃん?」

少女「…そうね。」

少女「…でも。」

少女「そのまま中学生になるとこの先変な目で見られるわよ。」

少年「…。」

少年「き、気をつけます…。」

14 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 17:47 ID:9QH6sC5Z
少年「さて、どこに行くかなっと!」

少年「あ、ゲーセンだ!行かね?」

少女「…先生にダメって言われてるでしょ。」

少年「えー。良いじゃねぇか。先生の言うことなんか聞くのかよ?」

少女「昔の人も言ってるのよ。長い物には巻かれろって。経験が多い大人の言うことを聞いたほうが私たちのためになるってものよ。」

少年「…ちぇー。わかったよ。

少年「金ならあるのになー。」

少女「…。」
15 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 18:31 ID:9QH6sC5Z
少女「あら、図書館だわ。」

少女「あそこに行きましょうよ。」

少年「えーっ。」

少女「嫌なの?」

少年「だって、やることなくね?」

少女「…そういえば、明日提出の宿題があったわね。」

少年「…。」

少女「私は終わっているけれど、あんたは終わっているかしら?」

少年「も、持ってきてねーし。」

少女「…明日は21日ね。あんたの名簿は何番かしら?」

少年「21番だけど?」

少女「明日は必ず当たるわねー。私たちの担任は厳しいから、予習しなきゃ怒られるわよ?」

少年「…。」

少女「私は、もちろん予習は終わってるわ。」

少年「…あの。」

少女「なにかしら?」

少年「勉強教えてください…。」

少女「よろしい。良いわよ。」
16 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 19:20 ID:9QH6sC5Z
少女「だから、ここがこうで…。」

少年「???」

少年「なんでこうなんの?そうなるんじゃないの??」

少女「それはねここがこうだからよ。」

少年「…。」

少年「もうわっかんねー!!!!」

少年 (ハッ)

図書館にいる人たち (ジー…)

少女「…馬鹿。」

少年「し、失礼しましたぁー…。」

少女「出るわよ。」
17 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 19:25 ID:9QH6sC5Z
少女「もうっ。あんたがうるさくするから出て行く羽目になっちゃったじゃないの。」

少年「ごめんて。」

少年「その代わりと言ってもなんだけど、うるさくしても良い場所、知ってるから。」

少女「あら、そう?あんたにしては、気がきくわね。どこなのよ?」

少年「もう直ぐつくから、期待してろよ!」
18 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 19:36 ID:9QH6sC5Z
少女「うるさくして良い場所って…。」

少年「そしてぇかぁがやぁくウルトゥラソゥル♪」

少女「カラオケ…。」

少年「ふー!気持ちよかったぁ!」

少女「なにが気持ちよかったよ!勉強は?」

少年「え、なにおまえ。カラオケまで来て勉強かよ?お前もほら、歌いなよ!」

少女「…。」

少女「歌う。」

〜♪
19 名前:名無し 投稿日:2015/12/11 19:50 ID:9QH6sC5Z
少年「楽しかったな!」

少女「え、ええ。まあ、ね?」

少年「よかったよ。楽しんでもらえたらしいし。」

少女「…ふふ。」

少年「? なに笑ってんだよ?」

少女「こんなに楽しかったのは、久しぶり、だから。」

少年「! そうか…。」

少女「ありがとう。お礼は言っとくわ。」

少年「い、良いよ…。お前が言うと、なんか気持ち悪いな。」

少女「はぁ!?人が素直になってやったのに!あんたってやつは!」

少年「ヘヘッ!そっちのほうがお前らしいぜ!」

少女「余計なお世話よ馬鹿!」
20 名前:名無し 投稿日:2015/12/12 09:53 ID:CfcrWQ2t
少女「もう直ぐ、日が暮れそうね…。」

少年「ん?そうだな。」

少女「…。」

少年「なんだよ、急に黙って…。」

少女「…帰らなくていいの?」

少年「なんでだよ?」

少女「だって、ご両親が心配しないの…?特に、あなたのお母さんは…。」

少年「…お前が、何考えてんだか知んねーけどさ。」

少年「俺がやるって言ったことは最後までやるって決めてんだよ。」

少年「それに、お前が付いて来いっつったんだろ?しっかりしろよな!」

少女「あんたは…、やっぱり。」

少女「優しいね。」

少年「! …そ、そうだ!まだ行きてーとこあんだよ。お前こそ、最後まで付き合えよな!」

少女「わかってるわよ!」
21 名前:名無し 投稿日:2015/12/12 10:04 ID:CfcrWQ2t
少女「ここ、公園ね。」

少年「そうだ。」

少女「で?ここで何するのよ。」

少年「こっちだ!」

少女「そっちは茂みの方じゃないの?」

少年「いいから来いよ!」

少女「あ、ま、待って!」
22 名前:名無し 投稿日:2015/12/12 10:23 ID:CfcrWQ2t
少女「わぁ…!」

少女「綺麗な、夕焼け…!」

少年「だろ?」

少女「あんた、こんなところ知ってたの?」

少年「そうだぜ!ここは俺の秘密基地なんだが…。」

少年「お前が最初に俺以外に連れてきたんだぜ?感謝しろよな!」

少女「…うん。ありがとう。」

少年「…やけに素直だな。お前。」

少女「だって、こんな素敵なところに連れてきてくれたんだもの。」

少年「…あっそ。」
23 名前:名無し 投稿日:2015/12/12 10:42 ID:CfcrWQ2t
少女「…もう、帰りなさいよ。」

少年「なんでだよ?」

少女「もう、日が落ちる。」

少女「私はあなたが、何も聞かないで、何も触れないでいてくれるから。甘えていたの。これは、私1人の問題なのに…。」

少年「…。」

〜♪

少年「あ、ごめん。俺の携帯。」

少女「…。」

少年「あ、もしもし?」

少女 (多分少年はお金持ちで。お母さんに愛されていて。きっとまだお父さんが慣れないだけで。いい人で。)

少年「うん。大丈夫。絶対帰ってくるから。約束するって。」

少女 (私が巻き込んじゃダメなんだ。少年だって乗り越えようとしてる。1人で。)

少年「俺は約束は破らないことを知ってるだろ?」

少女 (優しいからって甘えてはダメ。これは、私自身が経験したことじゃないの。)

少年「うん。じゃあ、またね。」

少年「ん。お待たせ。ごめんな。」

少女「…大丈夫。心配してるようだから、帰りなさいよ。」

少年「…あのさ。」

少年「お前は女なんだから、1人じゃあぶねーだろ?」

少女「…!」

少女「…じゃあ条件よ。」

少年「…え?また?」

少女「私と、一緒に一くれるんでしょう?」

少女「だから、聞いてほしいの。」

少年「…おう。わかった。」
24 名前:名無し 投稿日:2015/12/19 23:39 ID:wwUHKZwM
少女「帰って。」

少年「…!」

少年「…。」

少女「今日は、ありがとう。」

少女「すごく、楽しかった。」

少女「私の、わがままを聞いてくれて。」

少女「ありがとう。」

少女「これが最後のわがままよ。」

少女「帰っ 少年「やだね。」

少年「お前、わがままを聞いてやったんだ。」

少年「この、俺がな。」

少年「だったら、俺のわがままも聞くのが筋ってもんだろ?」

少年「俺のわがままはな、」

少女「…。」

少年「お前ができるだけ遠くに行きたかった理由を教えてくれ。」

少女「…。」
25 名前:名無し 投稿日:2015/12/19 23:54 ID:wwUHKZwM
少女 (それが。)

少女 (言いたくなかったから、帰って欲しかった。)

少女 (やっぱり、私は自分のことしか考えてないずるい奴だ。)

少女「あんたには、なんもできない。」

少年「…できるよ。」

少女「…!」

少女「…何を、根拠に…。」

少年「俺は、たぶんお前を救えるよ。」

少女「…。」

少女「わたしは!」

少女「あんたに、傷ついて欲しくない!ん

少女「巻き込みたくないのよ!!」

少女「なんで、そこまで言い切れるの。」

少女「なんで、私なんかを…。」

少年「俺は、お前にお前のことを否定して欲しくない。」

少年「否定せず、嫌いにならないで、向き合ってほしいんだ。」

少女「!」

少年「逃げることも、大事だけどよ。」

少年「お前は逃げすぎだよ。」

少女「…。」

少年「厳しいことかも知んねーけど。」
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